今日は精神というくくりのお話。

困ってしまうこと
訪問看護は自宅に訪問することもあり、感情を露わにしている場面に遭遇することってありますよね。
夫婦喧嘩の最中であったり、親族が亡くなってしまったり、辛いことがあって落ち込んでいたり、辛いと泣き叫んでいる場面であったり、家族で怒鳴り合いをしている場面であったり。
自分に危機が及ぶ場面であれば一目散に帰ってきていただきたいですし、衝動的な行為が行われていたのであれば救急車を要請することもあります。
ですが、感情の表出と言う場面であれば精神的なケアを行うことが私たちの役割でもあります。
けれど号泣している時などは、大人が泣いている場面にそもそも出くわすことが少ないので、どうしたらいいのかと困ってしまいますよね。
うつ病の方などの感情表出の場面は非常に重要な介入となります。自分のために泣く、対処行動として泣く、溢れ出る思いで泣く、それは今後の治療過程において非常に重要な場面になることもあります。
「泣いていたらどうしたらいんでしょう」「泣いていたら何をしてくればいいんですか」と職員に聞かれることもよくあります。
泣いていると言う急性の状態に何かをして結果を出してこなければ、と言うのは医療従事者として素晴らしい思いですよね。痛みがあれば和らげてあげたいし、眠れないと言うのであれば、少しでも方法を考えてあげたいと思うのが私たちの思いです。
泣いていたら、解決して、涙を止めてきてあげたい、それは人と人との関わりとして至極当然の思いであると共感します。
感情の優劣
そんな時私はいつもこう伝えます。
「相手が笑っていたら、笑ってる、どうしよう。って思わないでしょう。何か楽しいことがあったの?と聞いてくるでしょう。泣いている時も同じです。何か悲しいことがあったの?と聞いてきてください」と。
感情は本来優劣のないものです。ですが幼少期から「そんなことで泣かないの」「泣いてたら大きくなれないよ」「もう○年生なんだから、泣いてたらカッコ悪いよ」なんて言葉を1度はかけられたことがあるのではないでしょうか。
子供も「そんなことするんだったら泣いちゃうからね」と泣くことが親の迷惑だと分かっているような発言をすることもありますよね。
喜怒哀楽の中でも怒りと哀しみは悪い感情で、他者に表出するべきではないもの。喜びや楽しみを表出している人は、あの人はいい人だね、明るいねと褒められる良い感情である、そんな感情の優劣があるのではないでしょうか。
感情は全て同列です。優劣はない、同じように大切な、表現していい感情です。喜びだけを表現して、悲しみを押し込めることはできません。悲しみも怒りも表現してこそ、喜びや楽しさを本当に感じられるようになるのです。
私たちの中にもある無意識下の優劣にも気づいていかなければ、その介入は困難となります。
「大人ってそう言うものだよ」「社会人なら当たり前だよね」「そういう時って我慢するしかないよね」そんな自分にも課している常識が、相手のことも苦しめてしまうこともあります。
誠実に話そう
泣いていると困る、泣くことはよくない、大人は泣かない、泣く人はずるい、そんなレッテルが悲しいのです。
泣いているあなたも、笑っているあなたも、怒っているあなたも、楽しんでいるあなたも、全部ひっくるめて認めてほしいのです。それがそのままのあなたであり、一番魅力的な姿であるから。
そんな相手を見出すためには私たちも自分のそのままを受けて止めていくことが不可欠です。
だからこそ、泣いている時も笑っている時も、その感情を分かち合っていきたいと思っています。その時には自分の感情もしっかりと表出しながら。
そんな私の根拠のない、精神というくくりのお話、でした。


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